たまゆら

短かった。

半年もたないのは分かってたけど、
本当に短かった。

結局、3か月半しかいてくれなかった。
しかし濃かった。

まさに【たまゆら】。

過ぎ去ってみればほんの短い間。

同じ死に方ってなくて、
終わった後の想いも、
それぞれ違うもんだと感じたニコのこと。

マメは17年。
テンは11年ほど一緒に暮らした。

それに比べてニコは3か月半。
すぐいなくなるのは百も承知だった。
それがまさか「こんな気持ちに?」…という感じ。

足りないの。
一緒に暮らす時間が足りなさすぎた。

ニコがいなくなって部屋を片づけた。
ポヂとサンはいつもの通り。
サンなどは逆に元気。
ヘンなおばあさんがいなくなったから。
門番制度もなくなって部屋入り放題。
ニコというネコが元々いなかったんじゃないかってぐらい、
あっと言う間に3か月半前の生活に戻った。

それって、
ニコとの生活がなかったことになるってこと?

もちろんそんなことは絶対ないんだけど、
ニコと暮らした時間が「夢?」ってぐらい、はかなく感じて、
それがあの、おっとりニコの雰囲気と重なって、
自分にしてはちょっとあり得ないぐらいの寂しさに襲われてしまった。

これは自己満足以外のなにものでもないのだけど、
もっとやってあげたかった
そういう気持ちが残ってる。
そこがマメやテンへの想いと違うところ。
そこを想うとものすごく哀しい。
元気なニコと暮らす時間が短すぎたから。

いやいやいや。
それなら何年も前から野良だったニコをさっさと保護しろって話だよ。
インスリンだって、打てばもっと生きたかもしれなかったでしょ。
そうしなかったのは全部自分が決めたこと。
そこに後悔はないのだけれど、
あの可愛い可愛いニコのはかなさを想うと、
どうにもこうにも寂しくて哀しい。

そんな想いを秘かに抱えてたら、
ある日、オット君がこう言った。

「アイツ、可笑しかったよなぁ」

ハッとした。
確かに可笑しかった!

ニコのはかなさに囚われてて、
ニコの可笑しさが薄らいでたけど、
その一言で笑えるニコが蘇ってきた。

まったく、はかなくなんかなかった。
それどころか、図々しいくらいだった。

サンのご飯を横取りしようと早足で向かって来るのはいいけど、
足悪いもんだからどんどん曲がって目的地から離れて行っちゃったりしてた。

常にご飯のことしか頭になくて、モリモリ食べてた。
動物病院の先生にも言われた。

「普通、食べられなくなるんです。
 お腹壊すまで食べたんでしょ」

そう言われたら、思い残すことはないのかとも思った。
考えたら13歳だし。
テン子ちゃんより長生きしてる。

食べ過ぎた翌朝に昏睡状態になったニコ。
最後の最期まで食いしん坊。

こんな想いも、
あんな想いも、
ひっくるめてのしあわせ。
すべて含めての責任。

小さい生き物と暮らすことで、
可笑しさもはかない哀れさも、
いろんな想いを感じさせてもらってる。

だからいつも、
「ありがとう」
しか言えないんだ。

よく来たね、ニコ。

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プロフィール欄にネコの墓を作ろうとして「よせ」と言われたタマに応援ドウシヨウ

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