ニコはお向かいのアパートのベランダで暮らしていた。
何年もの長い間、暮らしていた。
ご飯をくれていたオバさんちの窓の右側に
ニコの寝床ダンボールがあった。
わりと綺麗なバスタオルを敷いてもらってたよね。
寝床と反対側の4軒隣のベランダをニコはトイレに決めていた。
そこにはいまだに、
ニコのものであろう乾燥したブツが転がってるよ。
ヒト、住んでるのにね。
ニコが長年暮らしたベランダ。
そこがニコのおうちだった。
だから、タマホームのベランダへ出ると。
こっち側には
寝床があった
はずなのに?
おかしいなと
反対側へ
行ってみる
こっちは
トイレに行けた
はずなのに?
ご飯くれてた
オバさんの部屋とも
違う感じ
ベランダに出るたび、同じ確認をするニコ。
「もうニコのおうちはなくなっちゃったんだよ」
ベランダに出るたび、ニコに伝えた。
そのうち確認することもなく。
ベランダは
ニコにとって
単なる
日向ぼっこの
場所になった
ニコ。
ご飯くれてたオバさんのこと、もう忘れちゃった?
寝床だったダンボールは、もう忘れちゃった?
あんな小っさなノーミソで覚えてるわけないかって思うタマに応援を
見に来てくれてありがとう