今さらレビュー

私は基本的にイヌもネコも大好きで、もっと言うなら鳥も爬虫類も好きである(虫は嫌いじゃないが恐い)。

「イヌ派? ネコ派?」

この質問は、本当に意味のない質問だと思ってる。
「お父さんとお母さん、どっちが好き?」
これと同じくらい、意味がない。
私は「お母さん」って即答するけど。

そもそも質問の意図が分からない。
「イヌ派? ネコ派?」
聞かれると、たいていいつも答えられない。
すると、相手は必ず「ネコがいるンだもんね、ネコだよね」と決めつける。

勝手に決めるなーーーーー�A�b�v���[�h�t�@�C��

決められないんデス。
そもそも、犬か猫かをなぜ決めなきゃならん?

まあ確かに、イヌとネコの性質は真逆といっていいぐらい真逆だ。
だから、そういうコトを聞くのだろう。

……

え? そうなのか?

……

うー分からん。

たまたまウチには猫がいるけど、
それは、たまたまウチのマンションの真ん前で、

ノラの親ネコとはぐれて一晩中、鳴きっ放しだったり、

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捨てられて途方にくれてたり、

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ゴミを漁って自活してたり、

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で、たまたま我が家が面倒をみられる状態だっただけ。
たまたま縁があっただけ。
拾ったけど、友人宅に貰われていったコも2匹いたから、マメテンポヂとはご縁なのでしょう。
もし、今、ウチにネコがいなかったら、捨てられたイヌの里親になったかもしれない。

そして、最近の私はちょっとイヌづいてる。
なんせ貼ってあるリンク先は、イヌがネコの2倍。
それは、私の中でイヌネコの区別がないからってコトと、
私がオモシロいと思ったブログにイヌが多かったコト。

せっかくイヌづいてるので、今日はこのマンガを紹介。

【犬を飼う】 谷口ジロー 小学館

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 1992年11月発行

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かれこれ15年くらい前に買った本だわね。
結婚してスグの頃か~。
は~~~……�G���������͂��Ă�������
遠い目にもなるわぁ。

この【犬を飼う】は、老犬の介護のお話である。
子供に恵まれなかった夫婦がタムという子犬を貰って、育てて、看取るのだ。
その後はまた別の家族がやって来て……と続いていき、タムを通して夫婦間も描かれている。

私はこのマンガを読んで以来、大きなイヌを飼ってる人を見かけると
「大丈夫だよね? 老後」
と心の中でいつも問いかけてしまう。
特に、青山や表参道で美しい大型犬をアクセサリーのように連れてるおシャレな夫婦を見ると、
「大丈夫だよネッ?」
思わず駆け寄って、本人たちに確かめたくなる。

……

いらぬお世話なのだ。
分かってるのだ。

いつだったか、このマンガと全く同じ苦労をしていた家族をNHKのドキュメンタリーで観た。
イヌも年とると、コミュニケーションが取りづらくなっていた。
パパやママが話しかけても、ウンでもなけりゃスンでもない。
なんだかぼんやりしてるのだ。
そのくせ、癇癪は起こす。
夜、眠れないイヌに睡眠薬を飲ます飲まさないで夫婦が言い合いになり、ママさんは怒っちゃってた。
当然、飲まさなかった。
そして、このご夫婦には成人した息子さんがいて、すでに独立していた。
息子さんが小学生の時、ご両親は共働きだったので、一緒に留守番する相手がこのイヌだったのだ。
息子さんは27歳になっていた。
小学校2~3年生ぐらいからずっと、彼と一緒に育ったイヌだった。

ペットが死ぬということは、家族を亡くすことと同じだけど、
人間よりうんとうんと寿命が短いのだから、その命は全うさせなきゃいけない。
動物のいる家が、このご家族のように最後の最期まで愛情もって面倒みてくれたら、と
願わずにはいられない。

【犬を飼う】がとても胸に沁みたので、この作者の他のマンガを探して見つけたのが、このマンガ。

【父の暦】 谷口ジロー 小学館

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 1995年1月発行

これは戦中戦後の家族の話。
反発していた父がどういう人間だったのか、父親が亡くなって初めて分かる息子の物語。
父の葬儀で、めったに帰らなかった郷里へ息子が戻るところから物語は始まる。
核となるのは、父の人生。
父に対してのわだかまりが解けて行く息子の心の変化。

とにかくこの作者の作風は『淡々』としている。
それが、読後感をさらに切ないものにする。
40代になって読み返すと、30代に読んだそれとはまた異なる。

子供を捨てて家を出て行った母親と対面する場面も『淡々』。
あざとさがなく、それがリアルさを増す。
幼い時に別れたきりの母との再会で、母親も年老いているのが切ない。
そして母は、父の葬儀に来るのではなく、火葬場にやって来るのだ。
家を捨てた母親にしてみれば、当然の心理なのだけど、その当然を描けるのは本当にスゴイと思う。

話は戻って。
イヌの話。

【はれた日は学校をやすんで】 西原理恵子 双葉社

このマンガは短編集。
その中の一つに【ジョン】という作品がある。
これは本当に、おススメできない!

私はこの西原理恵子という作家を、心底スゴイと思っている。
ある意味、尊敬している。
畏怖していると言ってもいい。

なにがどうコワいかというと、
ココロの奥の奥にある柔らかい部分をガッシと!と鷲づかみされ、さらに爪を立てられるという恐怖。

痛い。

コワいより痛い。
コレだ。

物語を描く場合、核に迫っていくことを目的とするが、
この作家、いきなり核に突入し、その核を掘って掘って掘れるだけ掘る!
そんな強ーーーい意志を感じるのだ。
とても私のような軟弱人間は、受け止め切れない。

そういう意味で、本当に本当におススメできない。
何度読んでも泣く。
【くるねこ】マンガとは全く違う涙が出る。

は~痛いよ~。

泣いたついでに言うと、このDVDを観た時も泣いた。

【ぼくんち】 監督・阪本順治 原作者・西原理恵子 脚本・宇野イサム

いや。泣いたなんてモンじゃない。
机に突っ伏して泣いたのだ。
「わーん」と泣いたのだ。
これを号泣と呼ぶ。

じゃあ、この映画が素晴らしかったかと聞かれれば「いいえ」と答える。
これは昭和のニオイのする大阪が舞台で、子供が主人公。
おそらく私の
「郷愁」
この部分が揺さぶられたのだろうと、後の分析で判明。

観た直後は「スゴい映画だ!」と感激。
オット君にも「良かったよ~観て~」とお願いした。
で、観て貰ったら、
「ん~気持ちは分かるけど、俺は別に~」

それで我に返った。

「私の郷愁だったのか」

そういう意味で、あまりおススメはしません。
原作はもちろんコワさのあまり、読んでいない。
映画であれだけだったんだから、原作マンガなんて「も~も~��でアル。
ムリ。

ちなみのこの映画は『泣ける』映画ではない。
どちらかというと、

スコーン!

と、突き抜けた明るさがある。
そこが私のツボにハマッただけである。

誤解のないように言うけど、私は西原理恵子氏を尊敬している。
なのに、おススメできないモノばかり紹介するのはナンなので、この絵本。

【いけちゃんとぼく】 西原理恵子 角川書店

身構えて読んだけど、これはコワくなかった。
これは読み返せば読み返すほど、深みが増す絵本。
いけちゃんが誰だったのか分かってからもう1度、最初から読み返す。

泣けちゃう。

これはコワくて痛くて泣けるのとは違う。
ココロに沁みて泣ける。

人間の本質、コワい部分、蓋しちゃいたい部分をデフォルメさせて描かせれば【?1】と私が思ってる作家。
同じような作家が他にいることを、私はまだ知らない。

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