仮の名はサン

昨日、捕獲した、
じゃなくて、
保護した3本足片目なしネコのサン(仮名)について詳細。

昨日の午前中。
オット君が出かけるのを、窓から見送る。
いつもなら、顔を出して覗いたりしないのだが、
たまたま、
何の気なしに、
わざわざ顔を出して外を見る。すると。

ん?
ネコだ。

んん?
足が1本ない!

んんん?
血が出てる!?

下を見ると、オット君も立ち止まってそのネコを見てる。

3本足ネコ、階段を上がったり下りたり、また上がって……
慌てたようにウロウロしている。

その状態を見てるうちに、思わず私は外へ走り出る。

ネコは階段を下りていた。
私が近づく。
するとネコ、ピョコピョコと3本足で逃げる。
逃げたはいいけど、そっちは道路だよ!
慌てて追いかける。
危ないよ!
佐川急便の車の下にいる。
キャー! どうしよう!?
そう思った途端、ネコはマンションの駐車場に停車してある車の下へ。

んんんんー!?
目がオカシイよー!
目玉がないんじゃんーーー????

これはもう、ナニが何でも捕獲せねば!
オット君と私、地べたに這いつくばって覗く。
ネコ、疲れたのか箱座り。
疲れさせたのは私。
しばらく動かないのを確認し、オット君に見張りを頼み、
私は大急ぎで家へ戻ってネコのご飯を皿に入れてくる。
ご飯で捕まえられるだろうか?
そう思いながら、持ってきたご飯をネコの側に置く。

ピクリとも反応しないネコ。
皿を近づける。
逃げる姿勢になるネコ。
私、すぐさま動きを停止。
ネコ、また箱座り。
皿を近づける。
ネコ、反応しない。
皿を近づける。
そのまま待つ。
ネコ、鼻をヒクヒク動かす。
ご飯が見えてなかったのか?
ネコ、ご飯に気づいて恐る恐る、少し食べる。
でもすぐ用心して食べなくなる。
でもまた食べる。

この間が、ま~長い長い。
ジリジリもんだった。

そして、ネコがご飯に気を取られてる隙に私がジリジリ近寄り、
オット君も反対側からジリジリ近寄る。
それに気づいたネコ、ダッシュで車の下から飛び出た。
ピョコピョコだけど、意外に素早い。

オット君の方へ逃げる。
両手を広げるオット君に身を翻し、私の方へ。
両手を広げる私に身を翻し、オット君の方へ。
そのまま突進。
オット君、捕まえた。
暴れた。
私も一緒に捕まえる。
当然、暴れた。

ひー!
ひゃー!!
きょえー!!!

我らも「きょえー!!!」だが、ネコの方はもっと「きょえー!!!!」だったろう。
ホント、怖がらせてゴメン。

あまりの暴れぶりに抱っこは無理と判断し、地面に押しつける。
ネコ、暴れるも、ガリガリに痩せていて力がない。
諦めたように力を抜く。
我ら2人組、思い切り猫なで声で。
「大丈夫だよ~ごめんね~怖かったね~」
全然大丈夫じゃないだろう。怖がらせてるのは我らだっつーの。

とりあえず取り押さえることができた。
ただ、私の手はすっかりブルブルと震えちゃってる。
ネコをオット君に任せて、私は急いでキャリーバックを取りに戻る。
こうしてなんとかネコを保護。

キャリーバックに入った途端、ネコは大人しくなる。
このガリガリ具合からみると、体力がないのだろう。
とりあえず、やれやれと一息つく。

あッ!

あははは。

オット君を見ると、なんと!
流血ではないかー!
血だらけ。

まずは手。

san2.jpg

 噛まれて穴が開いてる
 白いのはネコの毛

san01.jpg

 まぶたから流血
 爪で引っ掻かれた

プロレスラーみたいだね~。
そう言うと、
カメラで撮って撮って、というので撮影。
……おバカちゃんか?

そして、急いでかかりつけの獣医さんへ。

到着すると、幸い他に患ペットはおらず、すぐに診察。
いつもの、オトコ前先生に診てもらう。
保護するのに暴れたことを伝えると、
念のため、キャリーバックから出さないで診察。
先日も書いたので重複するが、もう1度。
診察の結果。

犬歯が生えており舌に炎症もなく、口の中は綺麗。
おそらく、生後8ヶ月から10ヶ月くらい。
人間でいうと、中学生坊主というところか。
ノラ猫の子供と予測。

男の子。
栄養不良のため、玉タマはまだ大豆くらいの大きさ。
発情期はまだだが、いつ来るかは分からない。
タマが小さいので、去勢手術はまだできない。

体重は、2.5kg程度と予想。
ガリガリに痩せており、栄養不良状態。

眼球。
親ネコの風邪が胎内にいる時に感染したせいで、
生まれてから目が開くまでの2ヶ月間で左目の眼球が成長しきれず、
溶けてなくなった。
右目はかろうじてあるが、すごく小さい。
ネコ特有の目の幕が眼球を覆っていて、隙間から眼球が見える程度。
少しだけど、モノは見えているとのこと。

右足。
関節から下の部分がない。人間でいうと、膝から下の部分。
事故の場合、こんなふうにキチンと関節からなくなるということはない。
もっと、中途半端な部分でなくなるもの。
おそらく、子ネコの時に人間が保護して病院へ連れて行き、
手術した痕と予測。
オトコ前先生曰く、
「僕が手術するなら太ももから切る」
関節から切断されている為、太もも部分が大人になるにつれ成長。
そのせいで、太ももに余計な力が入るが足の先がないので、
痙攣しているかのように震える。
さらに、途中まで足があるせいで、座ると切断部分が地面にこすれてしまう。
そのせいで、その部分がいつも炎症を起こし、皮膚がただれ、
血が出るのだという。

3本足の状態でどうやって排泄しているかは、先生にも判断できない。

遠くから彷徨って来たネコではない。
たぶん近所に寝床があって、夜になると出てきて、
時々、人間からご飯を貰っていただろう。
でなければ、アパートの階段を昇るという行動はしない。

以上がオトコ前先生の診断だった。

あれほど暴れたネコだったが、
病院へ行く間もキャリーバックの中は静かで(落ち着けるようバスタオルをかけた)、
診察の間も、暴れることはなかった。
先生が目薬をさしても、痛みはないらしくジッとされるがままになっていた。
先生が頭を撫でると、緊張したように硬くはなるが、
怒ったり嫌がったりはしなかった。
口の中もおとなしく見せてくれる。
オトコ前先生の観察によると、
「このコはたぶん、すごくイイ子ですよ」
えへへ。
私もなんとなくそう感じていたから、嬉しかった。
夜、オット君にそう言うと、
「俺もそれは思った。ネコを押さえながら待ってる間、そう感じた」
らしい。

で、今後、どうするか?

今の段階で、ウイルス検査をしたり太ももから切断し直すのではなく、
順序立ててゆっくり進めていくほうがいいとの判断。

☆抗生物質を投薬しながら、体重を増やす。排泄状態も要観察。
☆体重が増えて人間に慣れてきたら、ウイルス検査。
☆もしエイズや白血病にかかっていたら、発症しないように投薬
☆去勢手術
☆太もも切断し直し

そして、先生から注意事項が。

時々いるのだけれど、拾ったり貰ったりしたはいいが、
いつまで経っても人間に懐かない場合がある。
そういうコは、狭い家の中より自由を求めているので、
もし、このコもそういうことを望んだ場合は、
元気になったらまた元にいた場所へ放してやるしかない。

ということは、お世話しながらも、
いつ手放してもいい状態の気持ちにしておかなければならないということだ。
ネコがそう望むのなら、それはそれで仕方がないと思える。
寂しいけど、そこは大丈夫。
なぜなら私も、人生の中で『自由』を一番、重要視しているから。
ただ、またノラ猫にすることには抵抗がある。

この日は、目薬さしてノミ取り薬をつけてもらった。
ネコにこれ以上、負担をかけないよう、足の状態を診るのは延期とする。
オトコ前先生は、性別も足の状態も全て手探りで観察した。

そしてオトコ前先生は、ネコの耳についてる血を見て、
「あ~、この血はネコのじゃなくて、ご主人の血ですね」
あははは。そうなんです~と笑い合う。

そして、家に帰ってからの注意事項。

ノミの薬をつけたので、成虫はすぐ死ぬ。
だが、卵がカラダから落ちるのは2時間後。
なので、2時間経ってからキャリーバッグから出すように。
中に敷いてあるタオルは、捨てるように。
これでノミが、家にいるマメテンポヂたちにうつることはない。

ウイルスがあるかはまだ分からないけど、
とりあえずキャリーバッグは、
塩素系洗剤、カビキラーなどで泡をつけて、
1時間くらいつけて洗い流せば大丈夫。

隔離していれば、ウイルスも大丈夫。

ということで、薬を貰って家路を急ぐ。
急ぎたかったけど、あまりに疲れていたので、
近所に住む友人宅へ一時、休憩。
ネコを見せ、事情を話し、水を飲ませて貰い、ようやく家へ帰る。

抗生物質ほか2種類と目薬を貰った。
診察代、5000円也~。

これをご飯に混ぜて与える。

san3.jpg
san4.jpg

念のため、3時間後。
いよいよサンを部屋の中へ。

サンは、キャリーバッグの中で、ずっと眠っていたらしい。
覗くと、寝ぼけ眼の顔だった。

ゴメンネ。
人間のせいで、クタクタになったね。

じゃあ、部屋に出ようかね?

san6.jpg

 帰宅後、3時間経過

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 起きたようだ

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 蓋、オープン

san8.jpg

 触らせてくれる
 嫌がらないが緊張が分かる

san11.jpg

 いざ、外へ!

san10.jpg

 3本足でオロオロ・ウロウロ

1分ほどオタオタしながら、長椅子の下のCD入れに入ってしまった。
オット君に連絡すると「そこはヤメてほしいな~」と言うので、
夜ご飯を食べてる隙にCD入れを移動。
(これまた大変だった。汗だく)

ご飯食べ終わったサン。
あ、もう隠れるところがない!
またしてもオロオロ状態で、逃げかくれたところがココ。

壁と引き出しの隙間。

キミは、隙間家具か?

san12.jpg

 狭くない?

この後、誰もいない時を見計らって、
サンは長椅子の下に作ったネコの寝床箱へ移動。
ただ、寝床箱へは入ってくれず、箱の上に落ち着いた様子。
それでもいいや、とソッとしておく。

夕べの夜ご飯は、なかなか食べようとせず、
断食して私に抗議をしているのか?と思えた%97%DC
このまま食べなかったらどうしようとボンヤリしていたら、
おもむろにCD入れから出て、食べ始める。
ペロリと平らげていた。
良かった~。
でも、その後に足したカリカリは食べなかった。

朝起きてみると、お皿は空っぽ。
お水も空っぽ。
急いでお水とレトルト朝ご飯をあげる。
10分後、オット君が見に行くと、ご飯はキレイに平らげていたと言う。
なので、また少しカリカリを足す。
すぐまたキレイになくなっていた。

昨日は、おしっこをした。
観察が間に合わなかったが、
かろうじで切断足は下についてなかったように見えた。
ただ、床の上に。
ペットシーツを広めに敷いて就寝。
朝見ると、寝床箱の前のシーツに1カ所。
そして、ネコ砂のトイレで1カ所。
ちゃんとネコ砂でトイレができるのを確認し、一安心。
あとは、うんこチャンだけか~。

今現在(PM2:30)、まだしていない。

コミュニケーションは今のところ、一切、取れず状態。
長椅子の下から、まだ1度も出てこない。
覗くと座っている。
逃げることはない。足を撫でても怒らない。
怒らないどころか、無反応。
拒絶でもなければ受け入れでもない。
まあ、拒絶されないだけいいやと思うことに。
こんな状態なので、目薬なんてとてもじゃないけと付けられないでいる。
オット君に至っては、
サンの顔も全身も、まだ1回もまともに見ることができないでいる。

ただ、あまりにも1歩も部屋へ出てこない様子から、
夕べはちょっと考えてしまった。

あれだけ逃げようとしてたのをムリに捕まえ、
サンの全く知らない部屋に閉じ込めている。
もしかしたらサンは、
今までいた、どこかにある寝床に帰りたくて帰りたくてしょうがないのか?
ネコの仲間がいたのか?
そこコたちに会えば、安心できるのか?
そう考えたら、この状態は単なる人間の自己満足に過ぎず、
残酷なことをしたのかもしれない。

……

うう~っ

……

と思ったが。

もう、こうなっちゃったンだからしょうがないよ。
サン、諦めろ。

そう思うことにした。

このままずっと、1歩も出て来なかったら……?

ふと頭をもたげる不安。
いやいや。
まだ1日目だし。
気長に気長に。

そう自分に言い聞かせて、なるべく知らん顔で、
サンのうんこチャンを待つことにしよう。
早くうんこチャン、出ないかな~。

昨日の夜。
オット君の噛まれた手が腫れてきた。
熱も持ってるようだ。
その時になって気づいたが、私も指を噛まれていた……気づくの遅ッ!
やっぱり腫れている。
妹(看護師)から
「抗生物質飲まなきゃいけないかもよ」
と言われている。

あ。
私あるよ、抗生物質。
ニキビ用だけど。

てことで、2人でニキビ用抗生物質を飲む。

ダメ?
ダメなら、夫婦揃って病院行きってことで。
おまけに今朝、私の足は筋肉痛だ。
マンション3階まで階段をダッシュで上り下りし、
地べたに這いつくばって、足に力が入ったのだろう。
……
軟弱。

サンの名前は本当にサンでいいのか、考えなくっちゃ。
私は、足ナシ目玉ナシだから、なしチャンってのはどうだ? と思ってる。

そうなのだ。
もう私は、サンの面倒を一生みることにした。
里親の考えは、なくすことにする。

今の私の願いは、
サンと我ら人間がコミュニケーションを取れるようになり、
サンにウイルスがないことが分かり、
マメテンポヂサンが、どの部屋も自由に行き来ができること。

軟弱な私の願いが叶いますよーに!

最後に、隙間家具状態のサンのアップをお披露目。

san13.jpg

あはははは。

可愛くないゾ~。

えーん。

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